序章
prologue
「始まりは終わりに向けて。」




「君は、何のために戦うんだい?」

 あの無機質な部屋であいつは言った。

 至極単純な調度品で統一された、あの部屋で。

「逃げてもいいんじゃないのかい?」

 そんなことを言う。

 黒蔵一馬。

 内閣調査室特務課課長の肩書きを持つ男。

 四条機関を構成する内調。

 しかしその全体が四条機関に属するわけではない。

 特務課。

 それが内調として四条機関に属している。

「私にはこの仕事をする理由がある。」

 あいつはこう言ったんだ。

「君は、何のために戦うんだい?」






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