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錆びた匂い
























 噎せ返る 噎せ返る



 躯に染み入る様な此の匂い



 気が遠くなりそうな 



 噎せ返る様な此の匂い



 赫く 温く 滑る



 纏わり付く其れは



 僅かに 確かに 微かずつ



 我が身を蝕み 侵し逝く



 魂が軋む 心が朽ちる



 其れは酷く醜く 酷く脆い



 触れる総てを腐らしめ



 抜き打ちの音は耳に卑しく



 斬れず 徒に傷付け



 やがて 自らも砕ける



 そう 其れは刀



 錆びた刀



 鉄の香りの血を吹かせ



 自ら錆びる腐れ刀



 仄かに薫る 錆びた匂いが  



















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